どのように電源ICを選べばいいのか? [第1回] (日本語ブログ)

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どのように電源ICを選べばいいのか? [第1回] (日本語ブログ)

Yutaka_Okui
NXP Employee
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電源ICとは、リニア・レギュレータや、DC-DCコンバータを単体、もしくは複数個搭載されているIC (Integrated Circuit)です。また、搭載されている電源に対する、保護機能や制御機能も、同じIC内に搭載されています。

電源ICには、数個の電源を搭載したシンプルなものから、10電源以上搭載し、更に制御機能を持つような複雑なものまで、さまざまな種類のものがあります。したがって、使用する場合には、使いたいシステムに最適な電源ICを、選択する必要があります。

 

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図1 電源ICの例 (NXP PF9453)

 

うまく、最適な電源ICを選択できれば、電源設計の容易化や、実装面積の削減に繋がりますが、そうでない場合、余分に外付け回路を追加する必要があったり、IC間にまたがって制御しないといけなくなったりなど、設計難易度が上がってしまう場合があります。

 

最適な電源ICを選ぶときに、どのような手順で、候補となる電源ICを絞り込んでいくのが良いのかを、大きく、以下の3つのステップでまとめてみました。

 ・Step 1 - 候補となる電源ICの選定

 ・Step 2 - 実装面積の確認

 ・Step 3 - 熱設計の確認

これらの手順では、実際に電源回路の仮設計を行うかたちになっています。

では、第1回ではStep1を見てみましょう。

 

Step 1 - 候補となる電源ICの選定

 

Step 1-1: 対象システムに入力される電圧・電流値を確認

  • 自動車向けは、12V(乗用車)24V(商用車)48V(高電力ユニット向け)など。
  • 産機向けは、24V12V5Vなど。
  • 民生向けは、USB PD規格など。
  • 最低入力電圧に注意(電圧変動試験条件など。アプリケーションごとに異なる)。

Step 1-2: 電源を供給する部品の決定

  • 対象システムを構成する部品(マイコン/プロセッサ、通信トランシーバ、センサーなど)のデバイスとその数量を決定。
  • 部品により、電源投入・停止順が指定される。

Step 1-3: 対象システムに必要な電圧系(電流系)の分類

  • 電圧系は、5V3.3V2.5V1.8V1.25V…などに分類。
  • 常時電源源供給するもの、ある条件でのみ電源供給するもの、などの分類も必要。
  • 電源投入・停止順(startup sequence/shutdown sequence)にも注意。
  • 定常電流(DC)と、ピーク電流(AC)を間違えないように。

Step 1-4: 電源ICを検索

  • ネットや、社内部品リストから検索。
  • パッケージ形状にも注意。

 

NXPでは、「PMIC & SBCs 」のページから、製品セレクタを使ったデバイス検索や、各種マイコン/プロセッサに適した電源ICの検索が可能です。また、クロス・リファレンスによる、他社型番からの検索も可能です。

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Step 1-5: 候補の電源ICを選定

  • 数種類は候補として残す。
  • 複数の電源ICで実現するケーズも考える。

Step 1-6: 候補の電源ICに必要な周辺部品を確認

  • 推奨部品から、FET(電界効果トランジスタ、スイッチ)、コイル、コンデンサなどを選択。特に、FETとコイルは、サイズが大きな部品なので注意。
  • 使用可能な部品のパラメータに幅がある場合は、Bode線図などにより、最適なものを選定。

Step 1-7: BOM (Bill Of Materials) の作成と部品コストの算出

  • BOM (部品表) から、部品コストを算出。

 

この時点で、電源ICと周辺部品を含めた、総部品コストが出てくるので、ここで、初めてBOMベースでのコスト比較が可能になります。

 

第2回で"Step 2 - 実装面積の確認"、第3回で"Step 3 - 熱設計の確認"について説明しますので、ぜひ見てください。

 

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