今回は、スイッチング・レギュレータについて説明します。
スイッチングとは、スイッチをON、OFFすることです。
スイッチング・レギュレータは、スイッチング素子と呼ばれるものを、ON、OFFさせながら、意図した電圧を生成するものです。図1のように、ONとOFFの区間を変化させて、電圧をならすと、出力の電圧が変わります。これが、入力電圧から低い出力電圧を生成する(降圧と呼びます)レギュレータの動作となります。
図1 ON/OFF区間とならした電圧の関係
スイッチング素子には、FET(Field Effect Transistor)と呼ばれるもの、電圧をなだらかにする部分には、コイルとコンデンサで構成されたフィルタと呼ばれるものを使います。これらの詳細は、別の機会に説明しますね。
では、スイッチング・レギュレータの振る舞いを見てみましょう。
リニア・レギュレータのときと同じく、入力と出力に着目して見ると、図2のようになります。図2は、降圧のときの図ですが、大事なところは、入力電力と出力電力が、ほぼ等しいことです。図では、電圧(V:ボルト)×電流(A:アンペア)の面積が、ほぼ等しい、ということになります。
図2 スイッチング・レギュレータの振る舞い
つまり、スイッチング・レギュレータは、同じ電力の中で、電圧と電流の比率を変える装置といえます。
ここで、「ほぼ等しい」と言ったのは、スイッチング・レギュレータを動作させる電力を、入力電力から、少し持ってくるためです。
ですので、効率=出力電力÷入力電力は、高い値(だいたい80%以上)になります。
リニア・レギュレータでは、熱に消えていた分が、とても小さくなりますので、大きな電力を扱う場合、スイッチング・レギュレータのほうが、電力を有効に活用できます。
また、「同じ電力の中で、電圧と電流の比率を変える装置」と考えた場合、入力電圧より、高い出力電圧を生成することもできます(昇圧と呼びます)。
このように、スイッチング・レギュレータは、昇圧と降圧を自在にでき、電力を有効活用できる電源、と言えます。一方、出力電圧を作るためにフィルタが必要で、リニア・レギュレータに比べると、動作が複雑で、動作に必要な部品点数が多い、という欠点もあります。
また、リニア・レギュレータのときにも書きましたが、「スイッチング」動作によって、大きなノイズを発生する、という欠点もあります。
このようなことから、一般的にスイッチング・レギュレータは、比較的大きな電力が必要で、ノイズの影響が比較的少ないところで使われます。
ただ最近は、ノイズを抑えたり、部品点数を減らしたりする技術が進んできて、以前ではあまり使われなかった、センサーや音楽系の用途にも使われてきています。
最後にリニア・レギュレータとスイッチング・レギュレータの比較を表にまとめます。
項目 |
リニア・レギュレータ |
スイッチング・レギュレータ |
入力と出力の関係 |
入力電流と出力電流が、ほぼ同じ。 入力電圧>出力電圧。 |
入力電力と出力電力が、ほぼ同じ。 |
効率 |
入力電圧と出力電圧の差が大きいほど悪化。 |
高い(高効率)。 |
発熱 |
大きい。 |
小さい。 |
ノイズ |
低い。 |
高い。 |
必要部品数 |
少ない。 |
多い。 |
第三回は、ボルテージ・トラッカについて説明します。
過去の記事は、「NXP「電源」まとめページ (日本語ブログ)」 からアクセスできますので、ぜひ見てみてください。
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