「電源」とは?- 最初の一歩 – 第一回 リニア・レギュレータ(日本語ブログ)

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「電源」とは?- 最初の一歩 – 第一回 リニア・レギュレータ(日本語ブログ)

Yutaka_Okui
NXP Employee
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電源とは、必要とされる電圧、電流を必要に応じて出力する装置です。

さまざまな機械や、家電、スマートフォン、さらには、NXPが取り扱っているLSIと呼ばれる電子部品などを、正しく動作させるためには、安定した電源が必要です。

例えば、スマートフォンでは、USBのケーブルをACアダプタに繋いで、スマートフォンの電池に充電しています。また、その充電した電池から、必要な電圧/電流を取り出して、スマートフォンの内部を動かしています。

こう見ると電池から、必要な電圧/電流を取り出している部分は「電源」ですし、ACアダプタも、スマートフォンを充電する「電源」ですし、そもそもコンセントの先にある、発電しているものも「電源」と考えられます。

今回は、LSI(電子部品)を動作させる「電源」について、説明していこうと思います。また、感覚的に理解できるよう、あまり式は使わず、入力と出力に着目して、その振る舞いを説明しようと思います。

 

まず、リニア・レギュレータと呼ばれるものを説明します。

リニア・レギュレータには、3端子レギュレータやLDOLow Drop Output)と呼ばれるものなどがあります。

リニア・レギュレータは、図1のように働くものです。

 
 

 

blog1-1.png

 

図1 リニア・レギュレータの振る舞い

 

大事なところは、入力と出力を見たときに、電流はほぼ等しく、電圧が変化している点です。

また、仕組み上、出力電圧は入力電圧より低い電圧しか出せません。

ですので、リニア・レギュレータは、電圧降下装置と考えることができます。

 

では、図1のオレンジの四角の部分、無くなった分の電圧はどこに消えたのでしょうか?

答えは、熱になって空気中に消えます。

この点が、リニア・レギュレータの問題点で、入力電圧と出力電圧の差が大きいほど、熱になって消える分が大きくなります。

 

学校で習った、電力(W:ワット)=電圧(V:ボルト)×電流(A:アンペア)の式を思い出してください。

図2のように、1Aの電流で、入力電圧を5V、出力電圧を1Vのリニア・レギュレータを考えると、入力の電力の20%しか、出力に出せません。80%分は熱になって消えます。最近のエネルギー問題を考えると、ちょっと、うーんとなる結果ですね。

この入力電力から、どれだけ出力電力に変換できるかを表す言葉として、「効率」があります。

効率=出力電力÷入力電力

で計算されます。出力電力と入力電力が同じ場合は、効率は1(100%)となります。

図2の場合は、

出力電力(1V×1A=1W)÷入力電力(5V×1A=5W)=0.2(20%)

となり、効率は20%となります。

 

blog1-2.png

 

図2 効率のイメージ

 

ここまでリニア・レギュレータの悪い点を言ってきましたが、当然、良い点もあります。リニア・レギュレータは、その仕組み上、構造がシンプルで、出力電圧にのるノイズが非常に少ないという利点があります。

この利点は、きれいな電圧が必要になる用途、音楽装置や、高精度センサーなどには重宝されます。音楽はきれいな音で聞きたいですもんね!

最後にリニア・レギュレータの特徴をまとめます。

項目

リニア・レギュレータ

入力と出力の関係

入力電流と出力電流は、ほぼ同じ。

入力電圧>出力電圧。

効率

入力電圧と出力電圧の差が大きいほど悪化。

発熱

大きい。

ノイズ

低い。

必要部品数

少ない。

 

第二回は、スイッチング・レギュレータについて説明します。

 

過去の記事は、「NXP「電源」まとめページ (日本語ブログ)」 からアクセスできますので、ぜひ見てみてください。

 

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