近年、世界中で電気自動車 (EV / Electric Vehicle)への移行が急速に進んでいます。これは単なる技術革新ではなく、以下のように様々な要因が複雑に絡み合った大きな社会的変化です。
このような流れの中で、EVにとってなくてはならないバッテリーの利便性を生かしつつ、いかにして安全に管理するか、その技術がますます重要になっています。
EVの性能、安全性、寿命を左右するのがバッテリーです。
EVのバッテリーは一般的に、数十〜数百のバッテリーセルが接続されて構成されています。
バッテリーセルの化学的な構造は様々ですが、1つあたりのセルの電圧はおおよそ3V程度が一般的です。
組みつけの容易性などの理由から、いくつかのバッテリーセルを束ねてモジュール化することもありますが、この状態のものをバッテリーモジュールと呼びます。
バッテリーモジュールや以下で説明するBMS、及びケーブル類などを一つの筐体に収めたものをバッテリーパックと呼びます。
EVにおけるバッテリーの総電圧は、数百V程度から、ときには1000Vを超えることもあります。
バッテリーを安全かつ効率的に使うための管理システムが、BMS (Battery Management System / バッテリーマネジメントシステム) です。
BMSはバッテリーの状態を常に監視し、異常を検知・制御するためのユニットとなります。これにより、事故を防ぎながら安全性を保ち、性能を最大限に引き出すことが可能になります。
EVのように充電可能で高い電圧のバッテリーに対しては、上記の観点からBMSが常に必要になります。
EVで使用されるもののように高電圧のバッテリーに対するBMSは、一般的に複数のモジュールで構成されており、それぞれがバッテリーに対して重要な役割を果たします。
ここでは、NXPが想定する代表的な3つの構成要素について紹介します。
CMUは、バッテリーモジュールに付属するように配置され、バッテリーセルごとの電圧や温度を測定するユニットです。
個々のセルの状態をリアルタイムに正確に把握することは、安全性の観点で非常に重要です。以下のような機能を持ちます。
CMUが正確なデータを提供することで、バッテリー全体の安定性と寿命が向上します。
CMUの別名:Cell Management Unit, BCC (Battery Cell Controller)
BJBは、バッテリーパック全体の電流及び電圧を測定し、異常時には電流を物理的に遮断する保護機能を持つユニットです。
高電圧リレーやヒューズ、電流センサなどが組み込まれています。以下のような機能を持ちます。
BJBは万が一のトラブル時にバッテリーや車両全体、ひいては乗員を保護し、安全性を確保します。
BJBの別名:Battery Pack Monitor (監視機能のみの場合)
BMUは、BMS全体の制御や判断を行う中枢ユニットです。
CMUやBJBからのデータを統合し、上位ユニットの命令に基づいてバッテリーの状態を解析・制御します。以下のような機能を持ちます。
BMUとその制御はEVの走行効率や安全性を左右する重要な要素です。
EVの進化に伴い、BMSにも高精度・高信頼性・高安全性が求められています。
NXPでは、これらの要件を満たす有用なBMSリファレンスデザインを提供しています。
ETPLを使用した800 Vバッテリー・マネジメント・システム (BMS) のリファレンス・デザイン
*ETPL : Electrical transport protocol link
また、以下はNXPの電動化に関する取り組みをまとめた資料となります。
ぜひご覧いただき、製品やその特長を知っていただけると幸いです。
これらの資料はこれからBMSを設計されるエンジニアに非常に有用なソリューションです。ぜひご活用ください。
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