「電源」とは?- 最初の一歩 – 第五回 PMICとSBC(日本語ブログ)

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「電源」とは?- 最初の一歩 – 第五回 PMICとSBC(日本語ブログ)

Yutaka_Okui
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最終回は、「PMIC」と「SBC」について、取り上げたいと思います。

 

まず、PMIC について。

PMICとは、Power Management Integrated Circuitの略で、Power (電源)Management(管理)するIntegrated CircuitIC: 集積回路)のことです。

通常、PMICには、複数の電源、つまりリニア・レギュレータやスイッチング・レギュレータが搭載されています。さらに、搭載されている電源に対して、異常がないか監視する機能や、それぞれの電源を、あらかじめ決めたタイミングでオン・オフするような機能も持っています。

搭載されている電源の数や、種類はさまざまで、例えばプロセッサ用のPMICでは、10個程度の電源が搭載されています。

 

下図は、NXP.jpから転載した図ですが、このPCA9452では、6個のスイッチングレギュレータ(BUCKx)と5個のリニアレギュレータ(LDOx)が搭載されています。また、これら電源の管理をする機能は、「Logic Control」として搭載されています。

 

image.png

 

一方、下図のPCA9420では、2個のスイッチングレギュレータ(SWx)と2個のリニアレギュレータ(LDOx)が搭載されています。PCA9452と比べると、ずいぶん小さいですね。

 

image.png

 

 

PMICの利点は、複数の電源と、その管理機能が一つのICにまとまって搭載されることで、電源毎に個別に回路設計を行わなくても、簡単に電源管理ができることです。

また、特定のプロセッサ向けに、あらかじめ最適な設定行ったPMICもありますので、これを接続するだけで、プロセッサを動作させることもできます。

こちらのブログ記事も参考にしてください。

NXP「電源」まとめページ

 

image.png

 

 

 

 

 

 

 

次に、SBC について。

SBCとは、System Basis Chipの略で、System(システム)をBasis(基礎)として提供するChip(チップ、ここではICのことを指す)のことです。こちらも、PMICと同じく、複数の電源や、それを監視する機能、そして、電源をあらかじめ決めたタイミングでオン・オフする機能を持っています。違いは、通信系のトランシーバ(CANトランシーバLINトランシーバなど)や、ウォッチドッグタイマ、リセット制御など、より大きなシステム制御を行うための機能を、搭載している点です。

 

同じく、下図に、NXP.jpから、SBCFS23の図を転載しました。

1個のスイッチングレギュレータ(HVBUCK)と2個のリニアレギュレータ(HVLDOx)の他に、CAN FDトランシーバLINトランシーバ、およびウォッチドッグタイマなどが、搭載されているのがわかります。

 

image.png

 

SBCの利点は、PMICよりも、多彩な機能が搭載されている点です。これにより、多くの個別ICを基板上に並べなくても、SBCを一つ置くだけで、作りたいシステムを実現できる可能性があります。

 

以上、「PMIC」と「SBC」の利点を説明しました。用途に合わせて、どちらが良いか選んでみてください。

 

さて、計5回にわたって、電源について説明してきました。初めての人でもイメージできるよう、詳しい動作原理や式は省いて、動作を中心に説明してきました。

より詳細が知りたい人は、説明の中にできたキーワードをもとに、調べてみてください。

 

過去の記事は、「NXP「電源」まとめページ (日本語ブログ)」 からアクセスできますので、ぜひ見てみてください。

 

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